漢方と食の切っても切れない関係とは?

漢方と聞けば、どの方もすぐに思いつくのが漢方薬でしょう。でも漢方薬を処方されたこともないのに、意外とこれを知っている人が多いのは不思議ですよね。これは売薬にも漢方処方を取り入れたものが多いせいかもしれません。探してみれば、売薬の中には漢方の薬効成分が含まれるものが実にたくさんあります。昔からおなじみの胃腸薬や風邪薬、沐浴剤や化粧品にまで見つけることができますから、その点では漢方薬は私たちの生活の中に深く浸透していると言えるようです。

このように長く利用されている売薬の中に漢方処方のものが少なくないことからも、私たちの漢方医学への信頼度は非常に高いと考えられます。しかし中国医学というのは、その治療をひたすら漢方薬だけに頼るというものではありません。薬はその一部分であって、漢方独特の身体全体のバランスを整えるという考え方を実践しようとすれば、食生活や運動なども含め、治療を日頃の生活と切り離すことは不可能だと言えます。

もともと漢方薬も、薬草を干して刻んで煮出した上で飲む訳ですから、食べ物のひとつとして捉えても決して間違いではありませんよね。漢方では医食同源という言葉があるように、口から入るものは漢方薬であれ食品であれ全て薬になるという考え方をします。つまり毎日何気なく買ったり食べたりしている食べ物は、全て薬として身体の中で様々な作用をする訳です。

ただ西洋医学の薬品のように、純粋成分の薬剤として取り入れる訳ではありませんから、食べ物として摂取すればその利き方はよりマイルドですし、よほど大量に食べない限りは副作用が出るということもありません。また漢方ではその素材全体を丸ごと食べるという考え方がありますが、これもその利き方のマイルドさに一役買っています。例えば食材の一部分が、別の部分の薬効を穏やかにしたり、副作用を抑える働きをするといった可能性があります。

このように、身体や食材を全て複合的に・あるいは立体的に捉えるのが漢方医学の大きな特徴だと言えるでしょう。西洋医学の単純明快さに慣れた目線では、何だか複雑怪奇にすら見えるのですが、そもそも自然な身体とは決して簡単に割り切れるようなものではありません。毎日の食事をしながら、食べ物の成分の不可思議さ、それを食べた後の身体作用の複雑さに思いを馳せるのは、健康になるというだけでなく、人生を豊かにするためにも意味があるかもしれませんね。